夏休みのミステリアス小旅行で浴衣調教!? 緊縛村へようこそ[お伽話1]

就職3年目にして実現した夏休みのカップル旅行

夏休み白ワンピ
夏休み白ワンピ

「今度の夏休み…二人で旅行に行こうか!?」
1ヶ月ほど前──大学時代にテニスサークルで知り合って以来、交際を続けてきた “彼氏” のテルアキから、こう誘われ・・・メグは二人っきりで、長閑(のどか)な田舎道をのんびりと走るバスに揺られている。
大学を卒業し、新卒として生保会社に就職してはや3年──大手の都銀に就職したテルアキとは、お互いが多忙さに追われ・・・関係も疎遠になりつつあった。そんななか、新入社員の頃よりは(スケジュール的にも精神的にも)多少の余裕が出てきたのか──このたびの「夏休みの小旅行」を実現することができたのだ。
目的地は、T県の山の奥地にある鄙(ひな)びた温泉宿──二泊三日のあいだは、どこにも行かずここでゆっくり過ごし、日々の疲れを癒す予定であった。
「どんな所なんだろ?」
「周りにはそこ一軒しか宿が無くて…川の隣りに露天風呂があるっぽいよ!」
・・・などとイチャイチャじゃれ合っていたら──分厚いレンズの丸眼鏡をかけたワンマンバスの運転手が、旧式のインカムで自(みずか)らアナウンスする。
「まもなく終点の『草倉』駅でございます…」

間違って辿り着いた奇妙な村落

白ワンピース緊縛
白ワンピース緊縛

終着駅でバスを降りる。すぐそばに古民家があったので入ってはみたものの、その外観は・・・『楽◯トラベル』で確認していた「温泉宿」とはほど遠い。
「ホントにここで正しいのかなぁ…」
テルアキの表情には、明らかな動揺の色が見て取れる。こういうとき、見苦しいほどに狼狽(うろた)えてしまうのは彼の悪い癖だ。
「どなたさんですかえのぉ?」
・・・と、しゃがれたダミ声が庭から聞こえ、一人の腰が曲がった老婆がトコトコと、こちらに向かって歩いてきた。
「ああ…××温泉はじゃな、『草倉』駅じゃなくて『草蔵』駅ですわな…」
「マジかよ…まぎらわしい!」とつぶやきながら、軽い舌打ちをするテルアキ──表情が露骨なまでに「動揺」から「怒り」・・・さらには「戸惑い」へと変化する。
「どうでっしゃろ? もうバスもおしまいじゃし、ここにも簡単な宿はありますけぇ、今日はこの村で一泊なすったら…」
にっこりと微笑みかけながら、そうすすめてくれる老婆の眼は顔中の皺(しわ)と同化している。
「ど、どうしよっか…」
すがるような視線をメグによこすテルアキの了承も取らぬうち、
「助かります! じゃあお願いします」
・・・と即答し、テルアキには、
「こういうハプニングも旅の醍醐味でしょ!?」
・・・と耳打ちすると、彼の表情から(心持ち)「戸惑い」の色が消える。イザという局面で腹が座っているのは、いつもアタシのほうだ・・・。
うんうんと頷(うなず)く老婆が、いきなり二人を縄で縛り上げる。腰の曲がった老人の女とは思えぬくらいの卒ない動作と強い力で・・・。
「許してくだせえ…こいつはうちの村の決まりですけぇ」

緊縛姿で村を練り歩かされる二人の “異邦人”

白ワンピース緊縛
白ワンピース緊縛

上半身を緊縛され、村を引き回される二人の若いカップル──そのあり得ない “現実” にテルアキはすでに「戸惑い」を超え、パニック状態になっている
途中・・・数人の村人とすれ違うが、皆(みな)が皆、
「なんだこれは! 信じらんねえ!!」
・・・と喚(わめ)きたてるテルアキをチラリと覗(のぞ)き見するだけで、何事も無かったかのごとく通り過ぎていく。そして、メグからすれば・・・その「無関心」のほうが、むしろ不思議でならなかった。

奇異なシチュエーションに擡(もた)げる素朴な疑念

白ワンピース緊縛
白ワンピース緊縛

「長旅で腹も減ってるでしょうが…」
こんな気が利いた風の優しい言葉をしれっとかけながら、緊縛された二人を「居酒屋」という暖簾がかかっている煤(すす)けた店へと案内する腰の曲がった老婆──どんなに鷹揚な “仮説” をもってしても非日常極まりないシチュエーションでしかないのだが、
「おやおや…いらっしゃいなせぇ」
・・・と、二人を出迎える店主らしき(背筋がピンと張っているせいか老婆よりは5歳ほど若く見える)老人男性も、やはり・・・まったく動じている様子はない。「いつもの光景」を「いつものように」眺めているいるだけ・・・と言わんばかりの落ち着きぶりだ。
老婆と店主らしき老人を交互に睨(にら)みつけるメグの鋭い声が短い沈黙を破り、店内に鳴り響く。
「これは一体どういうことなんですか!?」

戦国時代をルーツとする「緊縛村」

白ワンピース緊縛
白ワンピース緊縛

「この村はですのぉ…戦国の時代から野盗に狙われてばかりでしてな…。じゃけぇ、村人たちは知恵を絞り、方々に縄を張り巡らせて “罠” をつくったんですじゃ。ほいでもって、捕まえた野盗らを魔除け代わりに村の入り口に吊し上げておったんです。その名残りで余所(よそ)者は、まず必ず縛り上げるのが風習になっちょりまして…おかげさまで誰もが縄の扱いには慣れとるわけです」
「居酒屋」の店主らしき老人が訥々と語る “解説” を、腰の曲がった老婆が引き継ぐ。
「ですけぇ、この村は別名『緊縛村』と呼ばれておるんです…」

 

[お伽話2]に続く

緊縛師 HIBIKI
モデル あぃ
撮影場所 プラネアール木更津スタジオ

千葉県木更津市草敷750

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