緊縛写譚〜錯綜するアートとエロティシズム〜 写真:杉浦則夫 6・緊縛とエロス

「緊縛」によって「アート」と「エロス」が同化する瞬間

杉浦則夫 緊縛写真
杉浦則夫 緊縛写真

吊りを解いて──胴体と両膝は緊縛されたままな状態の早苗の後ろ髪をわしっと掴(つか)み・・・自分の方(=右側)へと引っ張る緊縛師M。
愛する女の、そこらへんのC級女優とは比べものにならないほどに垂涎(すいえん)な顎のカーブ・・・そして、無駄なく研ぎ澄まされた首筋が、ギリシア彫刻のような鎖骨とともに浮き上がり──「緻密な計算」のもとに「カリスマ」がセッティングしたストロボの光が・・・ “それら” をいっそう神々しく演出する。まるで、「光の魔術師」として名高いレンブラントの絵画のように・・・。

唾液によってリアリズムを与えられた緊縛女

杉浦則夫 緊縛写真
杉浦則夫 緊縛写真

芸術的な(※あくまで「芸術 “的”」 な)装いに支配されつつある愛しい女に──「キスがもっとも萌える」という(意外にも?)プリミティブな性癖を持つ緊縛師Mが、また濃密な接吻をする。さらには、その「濃密な接吻」によって十二分に分泌された涎(よだれ)を、無駄なく研ぎ澄まされた首筋とギリシア彫刻のような鎖骨にまで、舌を使ってまんべんなく延ばす・・・。
その「神々しさ」に満ちた “素肌” は、唾液によって “ヌメり” という光沢が与えられ・・・エロティシズムへと向かう「リアリズム」が加わっていた。

弓形に吊り緊縛された愛しい女にむしゃぶりつく!

杉浦則夫 緊縛写真
杉浦則夫 緊縛写真

「本日」の “舞台” である和室の畳の上で仰向けになりながら──胴体の前部から伸びる麻縄で一本吊りされている早苗。
その「吊り」の縄を引っ張っていくごとに、愛する女が弓形(ゆみなり)に反り上がってゆき・・・その都度(つど)に顎、首筋、鎖骨、肩のラインがエロティックなオーラを帯びていく。
その「エロティックなオーラ」が臨界点を超えるや否や──緊縛師Mは激しい性欲に駆られ・・・愛しい女にむしゃぶりつく。その獣(けもの)まがいの行動は、まさしく「むしゃぶりつく」といった表現がぴったりの猪突猛進ぶりであった・・・。

緊縛合体に到るまでのトライアンドエラーをスパイスに…

杉浦則夫 緊縛写真
杉浦則夫 緊縛写真

愛する女の下半身の緊縛を解き──乱暴に長襦袢の裾を捲(まく)ってから、両膝を強引に割って広げ、凶器のように硬直したチ◯ポを早苗の股間へと突き刺そうとする。
あまりの忙(せわ)しなさに、盲滅法(めくらめっぽう)な鬼頭の先がオ◯ンコの縁(ふち)を撫でまわし──その “乱れ打ち” が、また皮肉にもお互いのもどかしさを急(せ)き立てる・・・。
こんな童貞と処女の初エッチ的な “トライアンドエラー” を何度も何度も繰り返したのち、二人は感極まりながら “合体” を果たす。

最高の射精直後の抱擁こそが究極の「緊縛」!?

杉浦則夫 緊縛写真
杉浦則夫 緊縛写真

荒々しく腰を揺動(ようどう)させる緊縛師M。その単調な “直線運動” に呼応するように・・・「8」の字に、リズミカルに腰を回転させる早苗。
まもなく二人は絶頂へと導かれ──Mは愛する女の “なか” に、ありったけのスペルマをブチまける。この人生で経験した中でも一、二を争うほどの・・・「特上」にランクされるレベルの「射精」だった。
「抱擁こそが究極の緊縛だ」と言わんばかりに強く抱きしめ合いながら、エクスタシー直後のお互いの性器がピクピクと微動する痙攣を身体の隅々で体感し尽くそうとする男と女──パシャリパシャリという音は、すでに耳に入ってこない。無口なカリスマ写真家は、まだ淡々とシャッターを切り続けているのだろうか。それとも、すでに “撮影” は終了したのか。あるいは、最高の快楽に溺れた二人の聴覚が一時的に麻痺してしまっているのだろうか・・・。どれが真の “原因” なのかはわからない。けれど、結局のところはなんでもかまわないような気がした。

(了)

緊縛師 HIBIKI
モデル あぃ
写真  杉浦則夫

HIBIKI X https://x.com/HIBIKINAWA?t=S_e8JNxHmLv73ryFxoa8xA&s=03
あぃ  X  https://x.com/a1_mii?t=bXMF3c3dR2XEXKR5ooKIJA&s=03

 

撮影場所 Kスタジオ

東京都新宿区新宿2-15-11信田ビル5階

 

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