十字架磷付の刑に科せられる緊縛女王様
「ウフフ…アナタ…M女の素質もなかなかのモノね。いっそコッチで売り出してみる？」
冗談とも本気とも取れる軽口を挟みながら「紀沙羅」と名乗る女性は、またパチンと指を鳴らし・・・ドレッドヘアで痩せ型の緊縛師が無言で、小さく頷（うなず）く。
さすが「SM専用ホテル」を謳（うた）うだけあってか、室内にはあらゆる “ソレ専用” の小道具や装飾が揃っている。
今度は木製の十字架に両手を拘束され・・・新人女王様マリアは、心身共に「防御」という概念を奪われていく・・・。
もちろんのこと、生まれこのかた・・・一度も経験したことがないポージングであった。
「緊縛」は日本SM界伝統の様式美
十字架へと磔（はりつけ）られた新人女王様マリアのウエスト部分と太ももの付け根を・・・ドレッドヘアで痩せ型の緊縛師が、念入りに緊縛する。
一分の隙（すき）もないそのシンメトリーに見惚れてはしまうものの、真理子はそこに “必然性” を感じることができない・・・。
すると、そんなマリアの頭に浮かんだ “違和感” をやはり見透かしたかのごとく、「紀沙羅」と名乗る女性がこう諭（さと）す。
「SM…特に日本のSMは “様式美” に重きを置くのが伝統的なスタイルなの」
社内の人たちには絶対見せられない羞恥の姿
「緊縛」の奥深さを “学習” し、ナルシスティックな耽美観に浸（ひた）る新人女王様マリアの片脚に・・・ “現実” へと引き戻される強い力がかかった。
いつの間にか、左大腿部と（磔られた）左手は連結されており、一本脚で火照る股間が無防備となる歪（いびつ）な体勢を余儀無くされる・・・。
「こんな姿…社内の部下や上司には絶対に見せられない」
緊縛師の卒ないプロフェッショナルな仕事
気付かぬうちに右下腿部も十字架の支柱に拘束されていた。（おそらく）わずか数分だけ、新人女王様マリアが “自分の世界” へと没入している合間に・・・ “事（こと）” は速（すみ）やかに遂行されていたのだろう。
その的確かつ卒（そつ）ない “プロフェッショナル” な仕事ぶりに、真理子はトレーダー目線で、思わず感心してしまう・・・。
マリオネットのように縄で自由を奪われ…
もはや自分の意思で動かすことができるのは首から上のみ・・・という状況なのに、不思議と痛みや圧迫感は無かった。
例えるなら、マリオネット人形のように、天から “別の意思” によってフワフワと四肢を操られているみたいな気分であり、それは決して不愉快なものでも不快感なものでもなかった。
そして、聡明な真理子の頭脳に、ある “仮説” が（ひらめ）く・・・。
「もしかすると…圧倒的な緊縛の技術こそが “愛情” の証（あかし）なのかもしれない」
［Step4］に続く
緊縛師 HIBIKI
モデル あぃ
衣装 Patrice Catanzaro
首輪 拘束企画
撮影場所 Alpha-in（アルファイン）
東京都港区東麻布2－8－3
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